技術指導を行っているときの指導者のことば遣いが気になることがある。そのことばがふだん使われるそれとは大いに異なることがあるからだ。教室の中で使われる教師のことば遣いとも違うし、もちろん科学者や識者のそれとも似つかない。
それは気心の知れた親密な間柄を思わせることば遣いであり、ときに愛情を感じさせるものであることもあるが、逆に怒りや憤りをぶつけるようなものであったりもする。感情を押し殺した理性的なことば遣いというよりは、むしろ感情を隠すことなくストレートに露わにしているものに思えることが少なくない。
自らの感情をオブラートに包み込んで表現しようとするものではないので、一見、粗野に思えることもあり、そこに教養というものが感じ取れないことも少なくない。しかし一方で、そうであるが故にかえって他の人たちと切り結ぶ人間関係とは異なる特別な間柄であることを映し出しているようで、微笑ましく感じられることもある。