最終更新日
Thu, Mar 13, 2008
「真似(まね)から学ぶ」 目による理解
1)見せること、そしてことばによる再構成 2)目からの情報

2)目からの情報
 しかもこれは何も身体技能に限った理解の仕方ではなさそうである。

 たとえば医学教育においては解剖学をまず教室の中で座学の形で教えるらしい。学生が触れることができるのは教師の説明であり、教科書である。学生はとりあえずノートを取るが、実は曖昧な理解してしていないことが多い。

 そして一通りの講義が終わると解剖実習に移る。そこで初めて学生は、それまで漠としてモヤモヤしたものを一気に晴らすことができる。実体のなかった頭の中の知識に確かな形が与えられたと言えば良いだろうか。学生は人体の構造を隅々まで、まさに手に取るように理解できるようである。間接的ではなく、現実に直接的に目にすることがいかに理解の手助けになるかがよくわかる一例であると思う。

 スポーツにおける身体技能も同様である。

 ことばによる子細な説明はもどかしい。実際に見せてくれた方がはるかにわかりよい。もちろんビデオのような映像であっても構わない。要は、目に見える形であればよいのだ。

 目からの情報がどれほど豊かなものであるかはよく知られていることだが、受け手はその情報の裏に隠された意味までも無意識のうちに理解していることが少なくない。このことは多くの者が経験していることで、スポーツ技術のような身体技能はまさに目からの情報によってより良く理解できると言える。