現在、学校や企業のスポーツ部活動が縮小傾向にある中、元指導者や元プレーヤーたちの活動機会は確実に減りつつあります。また日々、現役を終えていくプレーヤーの多くがその身の振り方に疑問を抱えています。情熱を持って取り組んできたスポーツに一生関わっていたいと考える方々にとって、スポーツ指導者の社会的地位の確立は急務といって良いでしょう。一方、指導現場の末端では「身近に相談できる指導者がいない」という悩みを訴えるプレーヤーやチーム関係者が数多く存在し、ニーズに応えられる体制が整っていないのではないかと危惧されます。
　そこで私たちは、受け手であるプレーヤーの視点に立って、社会的な評価にも耐えうるように「指導の質を高める」方法を求めていきます。それは指導の体系的知識を理解するとともに、指導に対する考え方や方法を改めて問うことから始められなければならないと考えます。そして潜在する「指導」のニーズを掘り起こし、指導志望者とマッチングさせることで、指導者の実践活動の場を提供し、受け手側だけでなく指導者サイドも元気にしていきます。
　スポーツはとかく競技ごとの「縦割り」になりがちですが、競技の枠を超えたダイナミックな活動こそが日本に「文化としてのスポーツ」を根付かせる大きな力を生むと信じます。幅広い競技の人材と智慧を結集し、ニーズに応えられるシステムを構築するだけでなく、指導理論や指導方法の研究とその共有、競技間の指導者交流などによって日本のスポーツそのものを底辺から活性化し、ひいては国際的に活躍できるプレーヤーをより多く育成していくことを目指します。