東京成徳大中学校と聞いて「あの全国大会常連の・・・・」と思い浮かばないバスケットボール関係者は少ないはずです。しかしスカウトをしなくなった今では、東京成徳大中が全国優勝していることを知らずに、単に中学校のバスケットボール部に入りたい、といって入部を希望してくるミニバス未経験者がいるそうです。
こう聞くと、そんな子どもは東京成徳大中の練習について行けないだろうと思われがちです。しかし、ほとんど辞めないばかりか、当の生徒が3年生になるとスターターに入っていることもあるそうです。これまでスカウティングの陰に隠れがちだった遠香周平監督の指導力がその真価を明らかにしつつあるとも言えます。確かに選りすぐられた選手を集めてチームを作れば強いチームができて当たり前、と思われがちですが、「スポーツ指導」「チーム作り」とは本当にそれほど簡単な話なのでしょうか?
遠香監督が今、取り組んでいることは、まさに一般的な公立中学校とほぼ変わらない条件の中での「指導」です。ではスカウティングをしなくなったから指導を根本的に変えたのでしょうか?いいえ、少なくとも指導の考え方・指導の理念は何も変わりません。さらに言えば、遠香監督の指導がどれほど一貫しているかを知ることこそ、重要かも知れません。
1日2時間30分、週1回は必ず休養日を取る。今、行っている具体的な練習法をお聞きする中で、なぜそのような練習を行うのか、子どもたちをどのように導くのか、そして監督自身の指導理念とは何か。キーワードはふたつ、「答えは子どもたちが持っている」、そして「わかったかどうかはそのプレイを見ればわかる」。遠香監督のことばに静かに耳を傾け、私たちの次の指導に生かしていく時間を設けたいと思います。