筑波大学男子バレーボール部の輝かしい歴史を築いた指導者、都澤凡夫監督。しかし、都澤監督は「私の人生は失敗だらけ、後になって気づいてもう一度やり直す、ということの繰り返しです」と言います。10年近くにわたってインカレで連覇を成し遂げた監督とは思えない謙虚なことばに愕きます。
とかく「強いチーム」を作ってきた指導者に対して、先入観で人物を評価しがちですが、まずはその真摯なことばに耳を傾けて欲しいと思います。スタートは、都澤監督自身の選手としての経験からです。高校生で初めてバレーボールに触れましたが、本格的な部活動を経験したわけではありませんでした。もちろん大学では当時の監督から相手にされず、それを発奮材料に2年生で「ブロッカー」としてレギュラー入りを果たします。しかし基本をしっかりと身につけていたわけではありませんでした。基本さえ身につけていないことに気づかず有頂天になっていた、と言います。
指導者になった当初はいわゆる「スパルタ式」の練習でしたが、あるときその非に気づきます。コーチである自分がいなくても彼らはバレーボールをするのか?という自問からでした。こうして常に都澤監督は「失敗から学んできた」と言います。そして、今、目指すところは「選手自身が自分で決断するように導き、選手が自分で物事を判断する力を身につけさせる」ことだと言います。
実績を上げてきた監督だからこそ言えることがあります。それはもしかしたら「当たり前」のことかも知れません。しかし、その当たり前のことにどうやって気づいたかが、一番重要なのかも知れません。都澤監督が虚心坦懐に語ることばに触れる機会を設け、その貴重な経験をみなさんと共有し、私たちの次の指導に生かしていきたいと思います。