「選手の心をつかむ」第5回目は、慶應義塾大学男子バスケットボール部ヘッドコーチ、佐々木三男氏をお招きします。今年度、関東2部リーグで優勝し、入れ替え戦にも勝利して1部リーグ復帰を決め、第60回大学選手権では見事優勝を果たしました。春先から1戦ごとにチームの成長が見られ、まさに今年度は慶應義塾が大学バスケットボール界を席巻したといってもいいかも知れません。
佐々木氏の徹底したチーム作りは、理論と信念に基づくだけに誰にとっても参考になります。そのキーワードは「スポットライト」と「フィードバック」。「スポットライト」とは指導のターゲットを個人あるいは練習項目に集中させることを表し、「フィードバック」とは個人、チームに現状を知らしめることを指します。
そしてチーム作り最初の仕事は学生が考えるチーム像と指導者が考えるチーム像をシンクロさせることだと言います。シーズンに入る前に、両者の考え方を時間をかけてすりあわせることが欠かせないのです。
指導者はこのすりあわされた理念=「部の運営とプレーシステム」を年間を通して徹底します。特にプレーシステムは一貫して遂行させなければなりません。そのためには、指導者の一方的な押しつけにならないように、学生を尊重し、論理的に理解を求めます。
成果を出すための方式を説明した上で、ひとつひとつのプレーのバリエーションを的確に指摘して、単に理解するだけでなくそれを実践していくための方法を示します。学生には役割を分担し、ひとりひとりがチームにとって不可欠であることを理解させる中で、練習の意味やその目指すところを絶えず言い続けなければなりません。
佐々木氏がシーズン前から、どのようにしてチームを作り上げていくのかを具体的な映像も交えながら伺い、明日のチーム作りに生かして行っていただきたいと願います。