しかし一概に「サッカーの楽しさ」といっても習熟度の違いにより「楽しさ」は自ずから変わってきます。レベルが低ければ体を動かすことやみんなといっしょに運動することが楽しいと感じ、高まってくれば技術的な上達が目標になり、そこに喜びを感じます。水泳であれば個人のレベルに応じてクラスが決まりますが、サッカーではおおざっぱな年齢別のグルーピングが一般的です。結局、子どもたち一人ひとりに対して、指導者はもっときめ細やかに対処して行かなくてはならないはずです。実はこれはJリーグのようなトップレベルも含めてあらゆる「チーム」においても状況は変わらないのです。選手一人ひとり誰もが習熟度も性格も年齢も経験も違います。子どもたちや選手の「こころ」をどうつかみ、「信頼関係」を築いていくのか。指導者が永遠に考えていかなければならないテーマです。

　本座学講習会では、田部氏が実体験してきたさまざまなケースを踏まえて、どのようなカリキュラムを組み立て、具体的に子どもたちとどう接し、「信頼関係」を築いているのか。また、どのように子どもたちが自分で考え判断してプレーできるように導いていくのかをみなさんといっしょに考えていきたいと思います。