加茂周氏は東京オリンピックを境とする戦後日本サッカーの草創期に指導者としての道を歩み始めたひとりです。日本リーグがスタートし、ヤンマーに釜本選手が入部。このスター選手にコーチである自分のことばに耳を傾けてもらえるように猛勉強したと言います。「自分はカリスマ性で導くタイプではない。理論ベースを作って、計画を立て、選手を育てるしかない。そして何よりも選手に毎日、結果や成果をもって帰らせることが大事だ」と言います。それだけではありません。社会人チームとしてどうやって会社内に「応援団」を作るかに腐心したとも言います。

　ヤンマーで日本リーグ連覇、そして当時、神奈川県リーグにいた日産自動車へ日本人初のプロ契約監督として移ります。10年目で日本一となり、その後、天皇杯、日本リーグ、JSLカップの三冠を２年連続で達成しています。Jリーグ監督、日本代表監督とまさに王道を歩んできた加茂氏に、今、改めて指導者にとって何が大切であるのか、繊細緻密な思考に裏付けられた実績・経験の一端をみなさんと共有する機会をご提供したいと思います。

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