最終更新日
Thu, Mar 13, 2008
「真似(まね)から学ぶ」 意識的な真似

意識的な真似
 さて、もしその模倣行為が強い動機に支えられたものであれば、その技能の習得は、なおいっそう容易に進む。

 しばしば小さな子どもが親の仕草を身につけていて、ほのぼのとした笑いを誘うことがあるが、その仕草は無意識のうちに習得されたものである。しかしプロや先輩のプレイを模倣する行為は、夢やあこがれが基盤にあり、それをもとに技術を身につけたい、あるいはもっと上手くなりたいという強い動機に支えられている意識的な行為である。

 意図的な模倣と言い換えてもよい。それも高い競技レベルのものを真似しようとしているわけで、結果としてそれはまさに望ましいものとなる。

 模倣する行為は意識的なものであり、主体的で積極的なものであることに注目しなければならない。似せるためには真似すべき対象を事細かに観察しようとする主体的な働きかけが絶対に必要である。そしてその模倣行為は他から強制されたものではないので、決して受動的というわけでもない。加えて、上手くいかないときや納得いかないときには何度もフィードバックを行わなければならず、積極的な努力が必要である。真似や模倣とは決して受動的でも、他律的なものでもないのだ。